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[otamajyakushi] - C**
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Weight | Width (min) | Width (max) | Height | Bore | Depth | Shank | Stem | LOA | Airway |
68g | 32mm | 51mm | 52mm | 20mm | 44mm | 48mm | 58mm | 139mm | 108mm |
Left | nil | ||||||||
Right | baff(?) | ||||||||
Bottom | nil | ||||||||
Top | nil | ||||||||
Stem | (? logo) |
世に tadpole と喚ばれるシェイプ数あれど、いやそんなには無いか、兎に角、此れ程迄にシェイプ名そのマンマのおたまじゃくしがあるだろうか、ト云わんバカりの otamajyakushi。正式名称がホントに otamajyakushi になっちゃったぐらいにどこからどう見てもオタマジャクシイ。発案から命名に至る迄の経緯の与太は最下部の「more (続きを読む)」をクリックして頂くとして。
前部が比較的重くまた重心もかなり前方に位置する事から、クレンチした際の取っ掛かりを好くする為、ボタンはやや高めで、幅もまた若干広めになっている。煙道全長はしかし然程長くないので、短距離を急激に煙が走って広範囲に舌に当る事を避ける為、開口部は丁度必要なだけ開いている。ちなみにテノンの直径は 6mm とやや太めだがコレはこの otamajyakushi がプロトタイプも兼ねている故で、本件以後現在は 5mm へと変更されている。
刻印は底部には打てないので右側面に、ステムのロゴも上部にインレイするのはちょっと違うかも、と左側面に打たれている。それもこれもこの特徴的な逆三角形のシャンク故。届く迄はもう少し鋭角なものを想像していた為、初見では少し戸惑ったが、使ってみると、成程この三面の微妙な R が非常に指先に好く馴染むのが直ぐワカる。
Aft-Canted egg と呼んでも奇しくない極端な球面なので、ついついベント角のキツいシャンクを合せたくなる処を、グッと堪えて我慢して 1/16 程度の角度に抑えている為、前歯辺りで引っ掛けて咥えると、立ち上る煙が丁度好い範囲で鼻先を擽る。
また、流体力学的にはどうか知らないが、この推進力のマシそうな球体のカーブだけでなく、そこから上下にうねり波打つ様に述びたシャンクとステムの形状はユニークで、合さって躍動感のあるシェイプと成っている。田圃に放したらぴろぴろ泳ぎ出しそうなぐらいw
そもそも今回は一発目なので木目の出方の見当が付け難い為、当初のオーダーはサンドブラストかラスティックの仕上げだったのだけど、たまたま丁度前方下部(通称バルバスバウ - 今考えた)にバーズアイが出たりしたので、急遽ステインを濃い目にしたスムースへと切り替えてみたら、大成功。黒光りする丸いのって好いよね。ついついスリスリしちゃうよね。
しかしこんな極端なシェイプだと扱い難いのではないか、との声も聞こえてきそうだが、心配ご無用。グッと鼻先に向かって傾斜が付いており、譬えば Zule 等に代表される Fwd-Canted のボウルに(時にはビリヤードでさえにも)よくある、振動で灰がこぼれてキーボードを汚してしまう不幸な事故も無ければ、またボウルのほぼ延長線上にバルバスバウ(この呼び方気に入った)が位置するので、円柱に添って簡単にタンピングも出来る。ト云うのも、その極端な外観とは裏腹に内部構造は要は Cherrywood のソレと類似しているので、使い難かったり火皿トップから加味した上でのエアフローに問題があったりしたとすれば、Cherrywood にも同類の問題が無ければならないんだが、そう云う話は聞いたコトがナいワケで。
いやしかし格好好いなぁ。ポンチ絵の時もモックの時も、いやなんとなく格好好うなるやろな、とは思ってたけど、やはりデザインありきでシェイプ探っていったから、若干不安あったけど、まさかココ迄ビシッと格好好くなるとは思ってなかったな。キャプションに『JMSDF otamajyakushio SS-630』とか打たれてあったら本当に潜水艦にも見えるし。
さてココ迄で随分とうんざりとさせてしまったついでにさらにうんざりとさせる様な話をすると、この otamajyakushi、旨いです。以前から Virginia との相性の好さには一定の評価があった baff なので当然 Virginia は旨いとして、Latakia の輪郭がドーンと旨いてどう云う事か、と戸惑ったぐらい。バイアスマシマシなのでそこいら辺横へ置いといて貰うとしても、旨いです。
ト云う事で、以下、この otamajyakushi が出来る迄の与太です。文中の対話っぽい内容は意訳であり、また、文中の "baff" はパイプメーカー名/作家本人の呼称両方の意味ですので読み難くかったりしますが、書き直すの面倒なので、ご了承下さい。あと結合した画像の何点かは縦横の比率がズレてまして、昔の香港映画のエンディングみたいになってますがそちらもすまん。
そもそもの始まりは去年の正月の年始の挨拶がわりのメール。日本の baff 取扱店の L.S.Ando さんに Rocking と Plazzo が入荷した頃で、新年の挨拶ついでに、何気ナい感想として、「この二つ合せたら丁度ワシのサインに似とるな」ト云う話になりまして。で、baff も「お。それ面白いな。急がへん話として、ちょいちょい色々試行錯誤してみよか」とめっさノリノリになって。
仕事柄判子の代りに自筆署名する事が多いので、学生時代に使っていたフルネームの筆記体の様式から一転、この様な一見フザケた様な署名に切り替えて、早十ン年(ナいと思いますがサイン登録もしてあったりして、偽造されたらイカんので、画像は一部加工してあります)。まったくそんなツモりはナかったのだけど、丁度パイプに興味を持ち始めた頃とこの署名に切り替えたのがホボ同時期ト云う事で、「秘めていたパイプへの内なる想いの顕れ」ト云う意味で "es"(オーストリーっぽく中二病的にフロイトに引っ掛けて)、んでそれから暫くして面倒なので "sign pipe" ト云う仮称で、プロジェクトはなんとなくスタート。ちなみに大元のキッカケとなった Rocking と Plazzo、二本ともまだ在庫になってるみたいで、見る度に財布の紐がゆるゆるになりそうになるので、誰か早く買って下さいw
なんやかんやあって三月には画像の様なポンチ絵とジャンクション廻りに使う材料とかの打診が baff からあったのだけど、どのアイデアもなんとなく「欧米の考える和風」なテイストが残ってしまっていて、逆三角形のシャンクって面白いな、て部分以外は、まったく何も決まらず。
で、このママ待っていてはポシャるカモ、と最後に貰うた八つのラフアイデアから何点かピックアップして、膨らまして煮詰めて、無い絵心を漉してすり潰して裏漉しして、好くある egg を後側に倒して、ちょっと無い感じでシャンクをつけて、しかし内部構造は cherrywood を意識して、と二、三回程書き直して、なんとかポンチ絵仕上げてみたり。こんないたずら書き、プロが見たら怒るかな、とか全然考えないのがオレのやり方だ。この辺りが確か六月中旬。
しかし「これではシャンクとパイプヘッド(独逸系言語話す人達て皆パイプヘッドて云うみたい)の継がりがようわからん」ト云うので、実際自分もそこが一番困っていた処だったんだけど、では、とそこら辺に転がっていた粘土をこねくりまわして、モックのようなモノを作ってみたり。しかしこういうのて、作れば作る程に、文字通り蛇足が蛇足を呼んで、ホンマこんなパイプ作れるのかしらん、と不安になったり。愛犬ゼロも、このオッサン大丈夫かいな、と不安そうだったり。勿論こういうのを沢山画像に収めてメールで送り付ける事自体には何の疑問も持たない。
で、お互いワーワーと本業で忙しく、あっト云う間に夏が過ぎ、あらっト云う間に秋口、「そろそろはじめるで」のメールの三日後には、「ホレ出来たこの通り」、と作業の過程の説明と共に入電。作家なら当たり前の事かもしれんけど、仕事早えよw
翌日にはまた別のアングルからの画像が。ちなみにこの時点で、随所現在の otamajyakushi よりもやや太めなワケだけども、コレは微調整用にワザと肉を残している為で、ここから打合せでダイエットして行く、ト云う流れです。
んでまた翌日にはシャンクをダイエットしてステイン仮塗付した処。またこの頃には仮名称が "sign pipe" から "snoopy" とか "octopus" とか "triggerfish" になってたり。最後のはカワハギの一種です。まぁ名前なんかどうでもいいわけで。しかし図らずしてシェイプからインスパイアされる名称はコレ以外にもあって、何故かその殆どが水辺の生き物なのはなんででしょうかね。
シャンクは思っていた以上に好い感じで細くまた流れのあるうねりが出ているのだけど、そうすっと相対的にボウル部が太く見えてきたので、も少しダイエット励んでちょ、と paint で落書きしたのを添付したりして。余談ですが、こう云う遣り取りが面白かったのか、最近では baff のサイトには order tracking なるページも出来てたりしています。
とまぁそうこうしているウチにダイエットも完了して、さて、仕上について、どうしよっか、ト云う話になったワケだけども、実はプロトタイプと云う性格上どんなサンドピットが出てきても好い様に当初はラスティックかサンドブラストをお願いするつもりだったんだけど、結構格好好いグレインが出てしまった事から、急遽スムースに変更したりして。取り急ぎ仮名称 "octopus" のままで、出荷、と。発案からは約一一ヶ月掛ったワケだけども、実際の作業自体はほんの一週間程度。早ぇよ。
それから更に一週間程、指示不足から事務所でなくて家に届く様な手配になっていたので一悶着あったりもしてから、やっと手元に届いて。で実際手に持ってみて色々考えた末、「このシェイプの名前やけど、Tadpole はどやろかな」、「いや Tadpole はラインナップにもうあるし」、「もうそれ Acorn にしたらええゃん。で、tadpole やと他の作家と被ってる感もあるから polliwog とか kaulquappe とかでオリジナリティ追求。これ最強。それか otamajyakushi とか」、「otamajyakushi!?」(゚∀゚)人(゚∀゚)「otamajyakushi!!」ト云った遣り取りを経て、無事 otamajyakushi で落ち着きましたとさ。ちなみに既にラインナップとして並んでいた tadpole は後日無事 acorn でなく sperm と成ってたりします。
国内は卸や代理店・小売店・取扱店ト云う流れを非常に大事にする風潮があるので(いやその商慣習にメリットを見出せる人にとっては全然好い事だとは思うんで、儲のヒトツ覚えみたく、だから国内は駄目、て素頓狂な非難してると思われると困るんだけど)、こうして面白おかしく愉快に作家本人と遣り取りをしながら一つの注文を仕上げて行く、ト云った経験は、現時点では海外作家との交渉に限定されてしまうワケです。で、そうなると勿論日本語でおk、とは行かないワケだけど、言葉の壁っても、広域回線のお陰で、譬えば前述の通り、何枚かのポンチ絵と少々のコメントの遣り取りでなんとかなるし、ト云うか、かなり楽に思っていた以上の結果が出るワケで。またこうして特注を練る段階で図らずとも自ずと自身の好みの本質なんかも見えてきたりするし。もう好い事尽くし。
あ、そうだ。念のため。この otamajyakushi ト云うシェイプですが、コレ全部 baff に渡し切ってますので、以降、私に対して、どなたの発注に関しても、眠り口銭やキックバックその他の類の益が発生する事はありませんので、どうぞご安心を。例えば「このシャンクの途中のうねうねしたのナシでラウンドシャンクでもう少しベント角強めにしてくれ」とか云う細やかな指示も、十分にアリだと思いますし。たまたま偶然切っ掛けとして発案のようなものがあった、てダケですんで。ええ。
ト云う事で、みんなも ebay ばっかり見とらんともっとドンドン色々と直接交渉して発注したら好いと思うよ!!
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COMMENT
パイプ本体の良さもさりながら、
パイプ作家と二人三脚となって、好みのパイプを作り上げていくという工程の楽しさがあますことなく表現されたエントリだと思います。
どうもこのパイプスモーキングという趣味を取り上げるについては、単にウンチクを披露するだけになったり教条的になりがちだったりと難しい限りで、shuさんのあくまで「楽しんでいく」姿勢には頭が下がります。
またbaffも、そんなユーザーと一緒になって楽しんでいるのがありありと分かる作家で、自分の世界を確固として表現するアーティストである一方、また一方ではこのようにユーザーフレンドリーであり、あくまでお客の希望を叶えるサービスマン、としての姿勢もありで、ホント貴重だと思います。
自分もbaffのバンブー・タンパーをゲットしたら、これにマッチする外見のバンブー系baffが欲しくなってきてしまいました。
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僕はラタキアもので楽しんでますが、ラージサイズを頼むととことんまで「ラージ」なので何日も喫えます(笑
ちなみに、Roushも
「欲しけりゃメールしてこいよ、『スペシャルなオーダーは間違いなく受けない』けど、普通のならすぐに作るぜ」
と、やや意味不明な事を書いて寄越しやがりました(笑