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[GUILDHALL] - 334
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Weight | Width (min) | Width (max) | Height | Bore | Depth | Shank | Stem | LOA | Airway |
38g | 29mm | 38mm | 43mm | 20mm | 38mm | 38mm | 73mm | 140mm | 118mm |
Left | The GUILDHALL LONDON PIPE | ||||||||
Right | MADE IN LONDON ENGLAND 334 | ||||||||
Bottom | nil | ||||||||
Top | nil | ||||||||
Stem | (three bar) |
パッと見、ビリヤードでも無ければ、アップルでも無い。ああ、全部ひっくるめて glove なのかな、とフと思ったけど、そゆマクロと云うかメタ的な解釈でシェイプ名なんか付かないワケで、多分ソレは絶対違うトして。正直、こんなシェイプがあった事知らなかったし、swap としてオファーされなければ一生手にする事ナかったワケだけども。
ジャンクションから少し離れた処に位置する 3-bar logo からハンドカットと思われるが、これは他の所謂ハンドカットのものと比べて(至極個人的な感想なのだけど Guildhall に関してはハンドカットならば闇雲に好いトは云えず寧ろ bar がジャンクションに隣接するモールドタイプの方が柔らかく歯茎に沈むので咥え心地が好いのだけど)ツルツルしておらず、もの凄く咥え易い。括弧内長いな。刻印から恐らく五〇年代かな、とは妄想されるが、それとこのしっかりと歯茎に沈む間隔との関連性は、多分あと百本ぐらい比べてみないとワカんない。
テノン開口部に、恐らくフィットメント無理矢理抜いたんだろう、な後が残っていたり、リップにやや大き目の噛み傷が残っていたり。テノンはそのままで、リップは黒い瞬間接着剤で修繕してみた。フィットメントを無理矢理抜いた跡がある、ト云う事は、ある程度本数を見て来た諸兄ならピンと来る処だが、ええ、モーティスもごっついタールがばっちこいで、全部刮ぎ落したら随分と軽くなった。
経年変化等から全体的なステインの発色自体が薄く、故にコントラストも浅くなってしまってるがしかし、クロスグレインへの意識は未だバリバリに濃厚なのが好くワカる。あー畜生ー、いっちゃん最初に店から新品の状態でこのパイプ手にしたかったなー。てあれ? 初見ではあんなに愚図愚図思ってたのに、何この感覚?
或る人曰く、世の中には三種類のパイプしかなく、一つは見た目が好いけど使ってみると色々と不味いパイプ、一つは見た目はピんト来ないけど使ってみると好いパイプ、そして一つは見た目も好くってさらに使っても好いパイプ、ト云う(見た目も駄目なら使っても駄目なのはパイプじゃない、ト云うオチ)。それを踏まえて、いや踏まえなくとも、comoy がドーンと comoy の味な処がマズもう堪んないワケで。それに加えて、このシェイプ、いや毎度の事ながら俺は見事に間違っていまして、ものっそい使い易いんよ! マジで!! どっちつかずの中途半端とか云うヤツ阿呆か。絶妙な配分で、エエとこ全部取り。強いて云うのならパイプの持つべき公約数がコレなんじゃね、って全然強いてなくて、もう使ってみれば直感的にソレがワカる好いシェイプで、ほいでもって旨いト云う。これだからパイプはこわい。そして今はナンと云っても濃い comoy がこわい…おあとがよろしいようで。
[TROCADERO] - 43
出品者曰くメーカ不明でもしかしたら BC カモね、トの事だったがどう見ても 3-bar で、その他の刻印の情報に拠るとシェイプナンバは 43 で TROCADERO、色もなかなかシブくて深い茶色、ト云う事で、禁 bay をちょっとだけ解禁。しかしこないちょこちょこ解禁してたら禁漁の意味無いんじゃないのか。
Comoy の C の字はドコにも無いので邪気眼を持たぬ者にはワカらんだろう。で、比較的後年のセカンドグレードないし OEM としての製品だとして、そのワリにはエラい深い栗色やなト思てたら、底面に PAT. PENDING の刻印が。出品時にはこの辺り載ってなかったがコレはラッキー。P.O.S. も出品者の横着(多々アリ)によるモノかと思てたら本当に "MADE IN ENGLAND" やったし。
112のとは形状は類似しているが全長も違うし何よりコチラのフィットメントは捩じ込み式。なかなか造形として手が込んでいて格好は良い。パテント通りシャンク側の補強のブッシュ、INNER STEEL はちょっとだけ飛び出ていたのだけど、頭がプラの小さいハンマでコンコンと叩いてやったらピッタりツライチのトコ迄引っ込んだ。
あと、画像には納められなかったがテノンのフィットメント用ネジ山の奥にもステム側の INNER STEEL が埋め込まれていたり、と至れり尽くせり。3-bar の位置通り、モールドではあるのでリップ側開口部はハンドカットと比べればやや狭く低いが、ボタンの高さもしっかりしているし、リップもやや厚いが十分な平面部があって、全体的な重さとベント角とのバランスは良い塩梅で取れている。
届く迄は 42 よりちょっとだけ大きいぐらいかなト漠然と妄想していたのだが、コレが手にしてみると意外と大きくて、しかし大胆に流れるシャンクからステムへのラインはセクシーで、このサイズでしか出来ない曲線美となっている。あともっぺん云うけど 3-bar のステムは絶対モールドの方が柔らかくて咥え心地エエね。あと時代的な推移もやはり、ハンドカットからマスプロ向けに横着してモールドになったんではなくて、モールドからハンドカットへ、て云うのが順当かな、ト。仕入れ先の変更か何かが理由で。まぁもしかしたらもうワンステップあって、モールド→ハンドカット→モールド、てな流れかもしれんけど。
嗚呼しかし本当に GRAND SLAM とか Guildhall みたいな深く濃いダークチョコレートか栗かみたいなシブいステイン、マジでシビれる。GMR の仕上げとして通常通りさっト K メソで拭ってやって、paragon でコーティングして、カルふきんでクリクリと磨いてくのだけど、このステインの魅力ト云うか魔力ト云うか、もう磨けば磨く程透明度が増してきたりして、ヤめられん。若干の打ち傷はあるが発色と光沢でまったくソコには目は行かない。
芯の太さは Oil Curing 系で、鼻に抜ける香りは Oven Curing 系。生味をホンの少しダケ整えてやるだけでココ迄纏まるのかト驚くバカりだ。ラタキアから牛乳の甘味がするのが良い Comoy の証しとして、コレは良い Comoy。あと TROCADERO コレで大中小だいたいのサイズ見て来たコトになるワケだけども、何故かドレもクソドライさが顕著で、しかしこのラインだけ特に何かしておったト云うワケでも無さそうなので、その辺りもとても不思議。
[ROYAL COMOYS] - 499
アレから約一年、当時はゴールデンウィークを利用して一気に十五本程を仕上げたワケだけども、頑張った積もりでも矢張り手抜きが出るワケで。今回再度入念にチェックしてみたら、出るわ出るわタールたっぷりで、しかもアレ以降色々と ROYAL COMOYS を見てきて、今更めてこの 499 を見てみると、当時 K メソをかなり過剰に仕掛けてしまっていた事も良くワカる。ツメの甘さに関しては俺世界一かもしれん。
段の無いテノンの様に見えるが、薄らと跡が見える事やモーティスの深さから、コレ恐らく二段テノンの先端部がカットされたモノだろう。ちゅーかそうとしか考えられん。かなり酷い噛み傷があって一年我慢したがどうにも犬歯が滑り込んで不安定なので、今回黒い接着剤でパテ埋めしてみた。超快適。
アポストロフィ無し、丸型下部無し P.O.S.、から一九四〇~五〇年代ト妄想される。ステムのロゴの "C" の右開放部黒インレイが、中心黒インレイよりもやや小さいのはちょっと気になるトコロ(ト云ってもコレよりももっと古いタイプに良くある極端に小さいモノよりは大きいのだけど)。
かなり大きめのボウルに太めのシャンク、そしてそこから、つるりと伸びて絞られてゆくステムのバランスは、譬えば GBD の 9242 に比べてその前後のサイズの推移に於いての比率がかなり大きいのだけど、そこは流石 Comoy's ト云うか、絶妙な配分で美しく纏まっていて、寧ろ件の GBD の方が大人し過ぎるト云うかツマラなく見えたりもする。見た目だけでなく実際咥えた時のバランスにも、前歯で引っ掛けても犬歯横で咥え込んでも、どちらであってもストレスが無い。ベント角と広く平たく取られたリップが大きく影響しているのだろう。
ちょっと他の Comoy's に無い様な繊細な芳香が素晴しく、そこに加えてまた Comoy's らしく輪郭のハッキリとしたコクもたまらない。甘味、苦味、雑味、旨味、そしてスパイシーさ、その全方向がグッと強調されるがシツコくなく、また調整可能な範囲でのみ動くので、祖先は所謂生味系と軸足はハッキりとワカるが、しっかりと道具として矯正されている処も素晴しい。唯一残念なのはステインの赤みが浅くなってしまっているトコロだが、コレはもうタイムマシンで去年の五月に戻るしか他に方法が無いので仕方無い。<戻るの去年で良いのか?
[GRAND SLAM] - 106
シェイプやサイズなどは御構い無しに、兎に角 bar-logo の状態が良いモノが欲しい、とタダそれダケを念じながら探り当て、で実際に手に入れてみて初めて、普段なら「いつでも買えそうやし」トあえて購入ト迄は至らない様な、この平凡なシェイプの中に隠れていたその均衡の取れたスマートさに気付いた。偏狭な固執もたまには良いもんだ、の好例。いや隠れていたのではなく、多分私だけが気付いて無かった、て話だとは思うんだけど。
状態はかなり悪くトップから火皿からモーティスからタールやカーボンでビッチビチで、レストアするのにかなり時間が掛った。GRAND SLAM 特有のフィットメントは、付いていたのは付いていた(これまたステムから抜くのにかなり苦労した)のだけど、あらら残念先端と革ワッシャは欠損。かト思てたら、レストアしてたら奥から出てきたw 果報は寝て待て、ですな。
テノンの開口部表面を荒らしたのは私が犯人です。ガッキガキに固まっていたので仕方無いス。広く高く開いたフレア部はフィットメントしろのモーティスとのバランスも良く驚きのエアフロー。ボタンは少しチビてしまっていたが馬鹿になっているト云う程では無かったので今回は鑢は使わず。
届いた際の状態の通り、常日頃から外観に関しても然程手入れされていなかった様子で、まぁそれはそれで刻印部分の保全に関しては御の字か。アポストロフィ無しの "COMOYS" に丸型の P.O.S. で bar-logo ト云う事で一九四〇年代、かな。
GRAND SLAM 特有の濃ゆいステインがスタンダードなシェイプにさらに深い落ち着きと渋さを加えていて、かなりの濃度なのに重苦しさや暑苦しさはまったく感じさせない。
サイズとしては小さい方だが火皿に高さがあるので結構な容量があり、またフィットメントしろから来るフローの大きさもあって、咥え心地の軽さに反してかなり充実感が残る。ヘタに濃密な煙が出る煙草を詰めてしまった日には、こんな小さいのに、喫い終った時に「やっと終った…」と思わず独り言つぐらい。何詰めても旨いけどその辺りの「良い疲労」の扱いには注意せないかんかな。
[EVERYMAN] - 126
ポット云うとスグに DUNHILL の R しか思い浮ばない、ト云うかそれしか知らない了見の狭い自分にとってこの "126" ト云うシェイプは何故か何処か腑に落ちないモノがあったのだけど、最近の(LoF 研究所での)研究で、R は僅かながら上部に向かって広がる様な角度を持つ、謂わば Chubby Dublin (があったとして)の亜種であり、そもそも本来ポットと呼ばれるシェイプはこの "126" こそがまさに正しく、腑に落ちないのは「ポットは R」ト云う概念を捨てられない自分の防衛本能に拠るモノである事がワカった。えーと、あまり一生懸命読まないで下さい。
残念な事に残念なステムがリプレイスメントとして付いていた。と届いた当初は最初は残念がっていたんだけど、ボテっとした咥え心地さえ乗り越えられればエアフローは案外快適。フィットメント用に大きく深く火皿側開口部ギリギリ迄開いたモーティスが、ちょっと広げ過ぎかなと心配になる程開いたフレア部とマッチしていて、さらにオーバーサイズ気味な火皿と相俟って、良い掛算になっている。
刻印は全体的に薄めにしか残っていない処へつい先達て作り直した濃ゆいシェラックを塗り付けたモンだから更に読み難くなってしまった。YOB から、一九五〇~六〇年代、かな。
サンブラの全てがそうであるト云うワケではナいがフロウを目立たなくする為のサンブラ打ちは確かにあって、見ての通り数ヶ所、ゲゲっ、と驚く程深いピットがあるのだけど、そこが副産物的に功を奏したかの様に、とても味わい深い表情になっている。バランスは然程良くはないがそれでも片側から前面にかけて綺麗なリンググレインもぼっこんぼっこん出てるし。少々のシェイプオフにも躊躇しないデカいボウルのポットだからこそ出る、表情豊かな印象が良い。
ややもすると過ぎたる感も持たせそうな大音量を想像させる過剰なフロー、糞詰まりとは正反対だがしかしフローのみで咥え心地や歯触りや形のヘボいステム、申し訳程度に表面を荒したダケのモノとは全然違う大変趣きのある当りだが諸手を挙げて賞賛する程の表情では無いブラスト、特に超古い云うワケでもないしだいたいそもそも EVERYMAN やしと、良いんだけどなかなか手が伸びない条件がそれなりに揃っているのに、これ、まじで旨いの。どうしよう。金の使い方間違っているよなぁ、と思いつつも、けどじゃあ安ければ良いて云う話でも無いし。こういうアタリがあるからパイプ集めるの止められんのよな。困った困った。