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Kaywoodie [DRINKLESS] - 7734C
実は Bulldog については正直ツマラないシェイプだなぐらいの認識しか無かったワケだ。なんかヘンな昔の汽車の煙突模しただけのアレでしょ、みたいな。毎度毎度申し分けないが、間違ってました。ええ。絶妙な R の付いたカーブと疾走感すら感じさせる直接が絶妙の配分で織り交ざる様。見れば見る程に、触れば触る程に、どんどん魅せられて行く。好いね Bulldog、マジオススメ。
世の全てにはじまりがある様に、Bulldog に魅かれてしまうキッカケもまたあって、それはこの一枚の画像。たまたま去年の米国大統領選の頃にフと見掛けた Barack Obama, Sr.、通称パパオバマの画像で。この笑顔のなんとも云えないピースフルさ。その口元にさりげなくしかししっかりとした存在感で咥えられている Bulldog。いちびってるワケでもイキッているワケでもなく、至極自然なその姿に、すっかり虜にされてしまった。いやパパオバマの方でなくて Bulldog に、な。
ト云う事でこのパパオバマの画像から勝手に Kaywoodie であると独断と偏見で判定、数ある Bulldog の中から 34C をピックアップして、たまたまその時に目に飛び込んだこの DRINKLESS の 77 にしてみたワケだけども。パパオバマ 1936 年生まれだからその時点まず違うだろ、ってのは置いといて。
先端の玉の部分はやや小さめの四穴で、リップは薄いのだけどダダっ広くて、咥角拠りに咥えるのには難儀するが、前歯や犬歯手前あたりでクレンチする分にはかなり安定感がある。ボタンの開口部のこの歪みは、口の中に仕舞ってしまえば誰にも見えないから、ね。
覚えたての中二の様にわざわざワーワー云う事もナいのかもしれないが、この曲線と直線、曲面と平面が断続的に織り交ざる様はどうだ。何よりも凄いのは、こうも様々な要素が混ざるのに、決して前衛的かつ不自然な印象はまったくなく、しかし無機質な機械的な印象よりも寧ろ自然な佇まい。ここ迄ヤヤコシそうな内容がシンプルに詰め込まれていないといけないシェイプ、これ或る意味、Bulldog ト云うシェイプは作家やメーカの造形を捉える能力を示差するインジケータに成り得るのかも。それを踏まえてこの 34C、これは Kaywoodie が偉いのか、それとも Bulldog ト云うシェイプの存在感が凄いのか、いやマテその両方か。
本当はもっと色々書きたいのだけど Neill Archer の真似トか思われるのも癪なのでこの辺で止めとくとして、肝心のパフォーマンスの方だけど、ドロっと甘くバリッとエッジが効いてドスんと重い。好い Kaywoodie です。これは Kaywoodie が偉い。
で、デジカメをモノクロに設定して、椅子の角度を調整したりして頑張って撮ってみたのだけど、やっぱりこのパパオバマのパイプは 34C ではなかった。あーあ。けど二つ発見。こういうやや外道的路線のシェイプコレクティングもなかなか面白い、ト云う事、そしてもう一つ、私の耳の形、パパオバマに結構似ている、ト云う事。さて耳は別として、この先そっくりの Bulldog はハタして見付けられるのだろうか...
てもうなんか古い感じするよね。時代の流れは早い...<言い訳すんな
[YELLO-BOLE Imperial] - 3226
えーと、またやってしまいました。年内禁漁を解いて全力で。画像のシルエットからは既視感あったけど出品の商品説明にシェイプナンバ 3151 とあったのも気になったし、シール付きやし、なんせエラいシトから入手しておけ、て指示あったし。据え膳喰わぬはナんトやらです。
箱の側面の 3151 と書かれた数字と現物のシェイプナンバは食い違っているが、もうコレは業界トして伝統的にこの頃からそうであったのだ、ト諦めるしか無い。底に裂け目がある以外は、水濡れ、油、日焼けなどの跡も無しのなかなかの状態なので好しトする。ちなみに内部底面には丁度シャンクを挟むのに丁度好いサイズのクリップの様なモノが布地の下に仕込まれており、一番右の画像の様にディスプレイにも使えたりする。
未使用なのにまったくビクともしないステムを抜くのに一苦労(持ってて好かったバイスとプラカバー)、抜いて納得、メタルテノンの部分やスティンガが全体的に錆び付いていた。恐らく空気中の水分だとかモーティスや接合部に残った染料等で化学反応を遣したのだろう。モーティスと接合部の一部とシャンクの接地面にも細かく入り込んでしまっていた。
ト云うコトでせっかくのねんがんのアイスソード、ゆずってくれたのむ、ト云って貰える様に、重層、ピカール、ライターとかのエラいシトから貰うた金属磨き布、と使って、しかし削り込んでしまわない程度に、綺麗にしてみた。ちなみにこのスティンガ、他のものと比べてネジ山の部分を含んだステムが他のト比べて一番短い(画像一番右)。ちなみのちなみにこの撮影の後左側の三つドレがドレのかワカらなくなってしまいました。
一昔前の牛乳の蓋の様な、厚紙で出来たシールをそート外すと、ツルぺたの表面が現わに。おお、コレこそマサに Yello-Bole だ。ボウル内にはツール跡もクッキり。煙道開口部の屑の様に見えるのは、恐らく煙道を養生して保護剤が乾いた後で再度貫通させる為に突いた跡だろう。これ崩したら成分とか分析出来るかも。
しかし毎度思うねんけど、Yello-Bole て刻印細かいな。こんな狭いスペースにこんだけミッチリ文字詰め込んで。前述の通りシェイプナンバは 3226 で、底部には REAL BRUYERE の刻印。26 ト云うシェイプナンバ部は Kaywoodie の体系とはまた別の古いナンバリングシステムに基いているだろうとして、32 って何だろうか。あんまり見掛けないし。確か誰か何かムニュムニュ云っていた様な気がするんだけども、酔っていたせいで全然思い出せない。
ステムのインレイはドットでは無くお馴染の黄色い輪っか。位置のせいか他のものよりもヤヤ小さく感じる。側部やボタンに迄所々パーティングラインの様なものが残っていたりするのは御愛嬌。開口部がズレておらずまたフレア部もしっかりと縦横奥に広がっているので好しとしないと。いや寧ろそっちのが大事だろ。
ラッカーのてかりで判り難いが、パネル毎の表情が、目の詰まったバーズアイだったり綺麗に流れるグレインだったりで、なかなか愉しい。ステム同様やはりどうしてもマスプロ故が要因ト云うか、パネルなだけにちょっとしたズレも随分と歪んで見えたりはするが、うん、これはアシンメトリクパネルビリヤード、と思えば、好し。
で、蓋外して色々と眺めてはみたが、また閉じてしまった。まだ喫ってません。どうしよう。流石に画像を見ただけでそのブライヤの産地を当てられる程悪い意味で無敵ではないが、それでももうだいたいどんな味になるかの想像は着いているし。しかし外に出して飾っておくと紫外線とか色々あるし、また何かの腹癒せに捨てられても敵わんし。うーん。困ったなぁ。
[Super Grain] - 5183B
スタンダードなシェイプが好きな人はその直線的なラインの流れの端正さが良いと感じるのかな、で、モダン好きな人は逆に曲線とか立体的に交差する直線に良さを感じ取ったり、か。好みは千差万別として、KAYWOODIE の素晴しいトコは無数にあるシェイプの中にどんな人でも必ず一つは琴線に触れるシェイプがある事。GBD だとどうしても多様な様に見えて実は偏差があったりするんだけど、KAYWOODIE は連合軍的ト云うか、同じメーカとは思えない程、シェイプがポッポポッポと偏在する事無くあって、ソコが実に面白い。まるでパイプの三十三間堂。パイプなら何でも好きな人にとっては本当に嬉しい悲鳴で困っちゃう。この通称ハッサン・ビー(今考えた)の、まるで水面を跳ねて躍る魚の様な、躍動感のある流線型なんて堪らんね。
グレードコードの "51" からすると、凡そ一九三一~三八年と dating は絞られる。同じくグレード名ブルジョワジの証し "Super Grain" の、IMPORTED BRIAR の刻印から一九三六年以降とさらに前は絞られ、更にシェイプコード "83B" は一九三八~五五年の間の製造である事から後も絞られ、おお、非常に前向きに且楽天的になって理論的に全てを鵜呑みすれば、ピッタリ一九三八年製と出る。すごいスッキリ。ちなみに "B" の無い "83" は Slim Octagon Apple ト全然関連性見出せないんだけど、この時々見る "B" て何?
あと "J" て誰? 折角底部の刻印はイニシャルでは無くグレード内多様化且細分化説捏ち上げたのに。いやマテ、C と U と J とこの三文字に共通するのは、開口部が右か上か左か、と三つとも全て曲線と開口部の位置で判別されている事から、うん、まだまだ振り出しに戻らず頑張れそうだ<何故頑張るのか
スティンガは短かく小さめだが、コレは時代的な理由なのか単純にシェイプに拠るのか。あ、そうか、このスティンガのサイズこそが底部の刻印と、て多分それは違うか。位置が若干ズレているスリットは愛嬌の範疇で、若干アライメントが取れていない様にも見えるがコレは単にベントの曲げ損ねで、咥えている最中はまったく気にならない程度。リップはボウルの重さにしてはやや薄く感じるが、広くて平坦なのでストレス無く咥えていられる。
メリケン思考のヒトツとしてカスタム魂があり(しかも帰依する理由は十人十色で一貫性が無く純理論性に乏しい)、原状回復はつまり負けを意味する彼の国で長きに渡って unsmoked 等の特殊な理由以外で極力オリジナルの状態を保って残されている物件はかなり少ない中、なかなかの Miami Brown の発色で、単純に濃い赤茶色には無いしっとりと艶やかさ。にしてもこの曲線美は何だ。コロコロっとしとるかと思たらシュっとして、太いトコはブットく細く流れるトコはホッソく。前述の dating が当っていたとして七〇年余り前に既にこんなに前衛的且つ安定感のあるシェイプ思い付いた人、本当にエラい。
シェイプだけでなく、旨さが伴っているのもまた嬉しい。どんなイングリッシュ系ブレンドでも甘みがギンギンに際立ってしかもしっかりとしたスパイシーさが残りつつ且つ過剰にスモーキーにならずで、ヴァージニア系ならややもするとモノトーンな側面がパッと華やかにフルカラーになったりで。スティンガがどの面でも上手く纏めているからだろうか、吹き戻しで咥角から漏れ出た煙を鼻からすぅと吸い込むとホットチョコレートの様な柔らかで仄かに甘い香りがしたり。現況はつまり進化する為の退化、と迄は捉えたくないけど、しかしその一面としてお陰でこうして先人達の(偶然の産物ではあるけれども)素晴しさに気付けるのならばそれもまた。
[THORN] - 7414
最初に云っておきます。THORN 良い。ホンマに良い。何故だか全然ワカらないが、スティンガを見なければ KBB である事すらワカらないぐらい類の無いしかし顕著な香り立ちと滲み出る甘みとコクが、先ず良い。
固有の問題として、ネジのオスとメスのアライメントが一八〇度ズレており、このまんまだとそのベント角度から nose wormer ならぬ eyebrow burner となる処だったが、オス側のテノンとなる方を一旦捻り抜いて、位置を調整してピッタリスッキリの処で止めて、真っ直ぐにした。リップはやや厚く丸く、フレア部は広いが低く狭い。けど旨いから良い。
復刻版を含めば飛び石になるが、幾つかの条件さえ満せばある程度製作年代が判るとして、"74" と "14" と "THORN" から、一九三一~三八年頃、かな。OB オタクで KBB フェチからすれば黄金期なのも良い。
なんと云ってもこのブラストの表情と色合いが良い。シェイプアウトのギリギリ手前迄、割と粒の大きなメディアを使っていたのだろうか、深く荒く有機的で、見る角度毎に様々な表情と雰囲気がある。目隠しして盲牌したらコレ皆 Dunhill と間違うんじゃないかな。
スイと細く伸びるシャンクとボウル部の継がりや、少し緩めのベント角度も良い。ああコレでスティンガでなくてプッシュステムなら尚良いのになぁ、とちょっとだけは残念な気持ちになるが、一旦煙草を詰めればそんな事思いはスッカりと消えてしまう程、THORN は良い。
[DRINKLESS] - 7789L
近代のシェイプ名で云えばスクワットトマトにでも成るのだろうか。しかし、わざわざスクワットさせなくとも、マッシュルームがあるじゃないか。赤いオーバーオール着て上から踏み付けたくなる程、どこからどう見てもマッシュルーム。何故こんな愛くるしいシェイプが近年に残っていないのか。早過ぎたのかな。
細く長い四穴スティンガの刻印は消えかかっていて最初の三桁しか読めない。フレア部は若干片側に寄り気味で大量生産的な雰囲気を残しているが、捩じ込んだ時にボウルに対して真っ直ぐなだけで御の字なのは毎度の事。シェイプの全体的な雰囲気に合わせてか、リップは比較的薄めに切られている。
四桁の頭二桁の "77" は "DRINKLESS" グレードを現わし、残りの二桁とアルファベットの部分 "89L" は Long Stem Mushroom ト云うシェイプを現わしている。"77" が一九三一~三八年、"89L" が一九三五~三七年、で "DRINKLESS" の "SYNCHROSTEM" が一九二〇年~三〇年代初期、と推定されているから、"DRINKLESS" が下位グレードへと割り当てられるギリギリ前のモノ、ト云う事かな。
判り易いっちゃー判り易いのだけどコレにはも一つ妄想の余地があって、度々見られるヒールの刻印、コレには "CU" と打たれている。専属カーヴァーのイニシャルだと云われたりするが、"U" 一文字だけのものとこの "CU" ト云う二文字のものの二パターンしか見た事無いので、恐らく同グレードの中でのグレインの善し悪しによるさらなる差別化(プレミアム化)を図ったものだ、と踏んでいるのだけど、ハてサて。
にしてもこの艶やかで深みのある茶色の発色。恐らく製作当初は意図せず単純に深い茶色のステインでの着色だったんだろうけど、経年変化で深く染まった部分と浅く染まった部分のコントラストがハッキリしてきたのだろう、グレインの良さも手伝って、非常に表情豊かな色合いになっている。
デンと太った幅と極端に圧縮された高さのボウル、そしてその両方とは相容れ無さそうな細く長いシャンクとステムの不思議な演出だろうか、どこにも無いのにどこにでも有りそうな愛らしい親近感と希少性のミスマッチが楽しい。全体的なサイズからすればかなり大口径になる火皿も、詰める煙草は若干選ぶが、色々な愉しみ方があって良い。知れば知る程 KAYWOODIE は面白い。